ところで、シカゴではテレビで、パピローマワクチンを受けるようにという啓蒙活動ビデオが、毎朝毎晩、何回も流れていた。
最近当院を訪れてくる若い人の初診の内視鏡では、その3分の1くらいの人にパピローマがある。日本の社会保険医療の現場では、抗パピローマ抗体価を調べると、過剰診療と査定される 。したがって、一般に調べられない。そのため、若者に広がるパピローマの実態については日本では誰も知らない。幸い、当院にはFICEシステムの付いた拡大内視鏡がある。特徴的な毛細血管像を観察することで、パピローマが簡単に診断できる。そのため、そこを組織検査して、パピローマとの診断が得られるわけであるが、それにしても、3人に1人とはすごい頻度だ。そのうち一人には、HIV感染者もいた。
パピローマは、日本でもアメリカ同様、若者の間でキスや性交渉を通じて広がっている。
ちなみに、抗HIV抗体検査、抗パピローマウィルス抗体検査も、社会保険医療の現場では、査定の対象である。1300円の検査代(利益はその20%ぐらいつまり、2-300円)を通すために症状詳記を書かなくてはいけない。また、書いても財務事情で認められない。というわけで、一般には、どの医療機関も赤字を恐れて、誰も調べない。逆にまた、必要があると感じて調べ続けると、過剰医療傾向のある医師ということで、ブラックリスト(ほんとはホワイトリストだと思うのだが・・・)に載り、ますます、査定されるようになる。ほかの項目も。というわけもあって、G7先進諸国の中で、HIVが増えているのは、日本だけというお粗末な事情になっている。
パピローマウィルスもHIVウィルスも 、日本では増加の一途をたどっているが、社会保険医療の現場では査定の対象となっている。
調べてみると、日本では、パピローマワクチンが売っていない。また、政府から認可がないので使えない。パピローマウィルスは、子宮頚癌の原因となるばかりでなく、口腔癌、咽頭癌、食道癌、肛門癌の原因 でもある。日本政府は、インフルエンザウィルスに敏感になるのと同じく、若い世代を守るためにパピローマ対策もしっかりする必要がある。
繰り返し言うが、日本政府は国民を守るために、 パピローマウィルスとHIVウィルス対策を強化する必要がある。パピローマワクチンの早期認可は緊急の課題であろう。
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