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JDDW2007神戸 第15回 日本消化器病週間 第二日目

 ブレックファーストミーティング「ムコアップを使用したEMR・ESD」があさ8:00という早朝のセミナーに参加。EMRやESDに粘膜下注入液に、臨床研究として利用していたヒアルロン酸希釈液(商品名ムコアップ)が医療材料として保険採用された。0.4%ヒアルロン酸ナトリウムは今まで用いられていた、生理食塩水、グリセリンなどに比べて、膨隆が強く持続時間が長い。一歩前進というところか。座長は工藤進英先生と山本博徳先生。演者は田中信治先生、矢作直久先生という豪華版であった。

 

 膨隆時間を長くするために、私は、今から20年前1987年に、20%グルコース液を大腸EMRに使用した。私は、それ以後、臨床的にあまり困らなかったので、そこで停まってしまったのであるが、その後いろいろと工夫があった。2000年ごろにグリセリンをはじめて使って、論文をいくつも書いたのが、矢作直久先生。ヒアルロン酸を使ったのが山本博徳先生。ちなみに、工藤先生も私同様、あまり困らなかったようで、いつも、生食といっていた。

 

 午前は、「ESD標準化のための手技の工夫ー下部消化管ー」に参加。司会は田中信治先生と矢作直久先生。症例数が増えて、先行施設ではだんだん成績が向上しているが、現在の手技では、やはり、平均2時間の長時間で、穿孔のリスクも10%ぐらいある。手技上のいろいろな工夫が提案されていて、それらを見ると、手術時間30分程度で、穿孔のリスクも2%以下という成績も、今後、期待できそうな印象を持った。本間清明先生の鋏型ナイフが面白そうであった。

 

 ランチョンセミナーでは、クレスチンの癌抑制効果についてのセミナーに参加。坂本純一先生(名古屋大学社会生命科学講座教授)が、メタアナリシスという手法で、これまでの優れた論文のデータを集積して、クレスチンの有効性を証明していた。癌の量の少ない状況でクレスチンは有効であった。講演でも言われていたが、時代によって、クレスチンの毀誉褒貶は甚だしいものがあった。1988年には、利かない薬といわれ、1996年には、癌の死亡率を5年生存率を10%も上げる妙薬といわれて、共に、読売新聞、朝日新聞の一面を飾った。マスコミはいい加減だ。自分で書いたことでもすぐ忘れる。

 

 午後は、「医療崩壊」の著者、虎ノ門病院泌尿器科 部長 小松秀樹先生の講演があった。スライドは使わず、話がいろいろ飛んで、ちょっとわかりにくかった。今回のテーマは、医療崩壊だけでなく、司法界対医療界であった。「診療行為に関連した死亡に係る死亡究明などのあり方に関する検討会」、いわゆる「医療事故調査制度」についての話であった。福島県立大野病院事件を契機に、司法界と医療界が対決している。司法会のトップは、司法界と医療界が衝突して、司法界の無謬性、信頼性、権威性が揺らぐことを恐れているといった言葉が印象に残った。

 

 サテライトシンポジウムでは、オリンパスの「フロンティア内視鏡」に参加。膵管鏡、胆管鏡が2003年にビデオ化されて以来、画像がずいぶんよくなっていたのには、感心した。ただ、まだ以前と同じくよく壊れるそうである。

 

 消化器内視鏡はまだまだ伸びる。その方向性が示されたいいシンポジウムであった。