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「がんの罹患率と死亡率の激減を達成するには」第1話 がんにならないためには その1 生活習慣

 「がんの罹患率と死亡率の激減を達成するには」は、第3次対がん10か年総合戦略の標語である。9月27日から横浜のパシフィコ横浜で開かれる、日本癌学会学術総会で、この標語についてのパネルディスカッションが28日午後から開催される。癌の死亡者数は、毎年増加しており、男性の2人に1人、女性の3人に1人が癌に罹患し、約33万人が、癌で死ぬ時代に、癌をいかに克服して行くかは、緊急の課題なのである。パネルディスカッションには、6人の演者が登場するが、どんな話が出てくるのであろうか、今から楽しみである。

 PD1.がんにならないためにはー生活習慣、感染症、多重がんー演者 富永祐民(愛知健康づくり進行事業団)

 富永先生のところは、がんの疫学的な研究や予防に熱心な施設で、研究発表も多い。かつて、意欲満々の看護師さんがいて、郵送による便潜血反応、郵便検診からのがん予防事業で、協力させてもらっていた。この問題についての、私なりの解答を考えてみたい。

 

生活習慣 1)節酒もしくは禁酒

 節酒は、大腸癌、肝臓癌、胃癌、食道癌、咽頭癌、膵臓癌の抑制につながることが報告されている。肝臓癌、食道癌は昔から、教科書にも記載されていることである。大腸癌、胃癌、膵臓癌については、自らの経験と、学会の報告などを総合しての判断である。

 C型慢性肝炎は、アルコール摂取により、肝臓の炎症がより強くなって、肝硬変になるまでの時間が早くなる。肝硬変になると血小板数が減少してくるが、肝臓癌のハイリスク状態の目安は血小板数8万以下である。食道癌(咽頭癌)のハイリスクは、50歳以上、男性、喫煙、飲酒習慣である。最近の研究では、リスクグループがさらに絞り込まれて、アルコールが代謝されてできる毒素アセトアルデヒドを解毒代謝するアルデヒド脱水素酵素の作用が弱い人に食道癌ができやすいとされている。ただし、最近は、昔と違い、女性も喫煙、飲酒する時代であるので、男性のファクターは、ほんとに食道癌が性ホルモンなどと関連しているのかは、疑問だが・・・。そういえば、不治の進行食道癌と診断されて、昨年、築地の国立がんセンターから逃れてきた、プライベートレストランの50才台前半の女性オーナーは、20年来毎日、ワインを夫と一緒に1ボトル以上開けていたという。ちなみに、夫にも咽頭癌がみつかった。夫婦内 二重癌。

 10年ほど前に行った私の研究で、大腸ポリープが癌化している確率は、日本酒の摂取量に比例して上昇し、毎日5合で、約2倍であった。また、ポリープの数自体も、ビールを大量に飲む人に多く、毎日、ビール1.5リットル飲むと大腸ポリープの発生は、約2倍になっっていた。臨床的にも、一般に接待接待で毎晩明け暮れる方々には、だいたい、大腸ポリープが見つかる。

 最近の学会報告では、ピロリ菌除菌後の3年以後の胃がん発生率は、飲酒群で33%ぐらい、非飲酒群で5%以下と報告されている。

生活習慣 2)禁煙

  肺がんのリスクは、喫煙で上昇する。喫煙者の罹患率はアメリカでは約20倍、日本では約5倍ぐらいと報告されている。今の癌年齢の日本人は、車や工場の排気ガスがもっともひどい時代に生きていたので、肺がん発生に対する、喫煙の寄与率がアメリカよりも低いのであろう。アメリカは広い国で、空気は日本よりもきれいだ。 しかし、私が大腸を見たことのある患者で、肺癌で死んだ人はほとんどが喫煙者であった。ちなみに、大気汚染のひどい中国は、近い将来に肺がん大国にもなるであろう。

生活習慣 3)低脂肪食

 大腸がんと乳がんは、脂肪の摂取量上昇により、罹患率が高まることが報告されている。